ただの読書記録。


このシリーズが刊行されたのは四年くらい前だったか。続刊なんてでるまい、と思っていたらなんだかんだと雑誌短編掲載等含め合計四冊目で完結の運びとなった。

あっという間だったなぁ。

ジャンルはSF。文体はやや軽めの一般書籍で話の作りは一般、設定は重めのSF、キャラの作りはライトノベルチック。ラノベほどの軽くなくていいけどもう少し重厚な物が読みたい人はどうぞ。

刊行順は
人工少女販売処
幼形成熟の終わり
人工処女受胎
初夜の果実をつぐもの

時系列的には人工処女受胎が一番最初にくるんでそこから読んでもまぁぼちぼち。

アマゾンの一巻の紹介を引用すると
〈種のアポトーシス〉の蔓延により、関東湾の男女別自治区に隔離された感染者は、人を模して造られた人工妖精(フィギュア)と生活している。その一体である揚羽(あげは)は、死んだ人工妖精の心を読む力を使い、自警団(イエロー)の曽田陽介と共に連続殺人犯"傘持ち(アンブレラ)"を追っていた。被害者の全員が子宮を持つ男性という不可解な事件は、自治区の存亡を左右する謀略へと進展し、その渦中で揚羽は身に余る決断を迫られる――苛烈なるヒューマノイド共生SF

という感じ。パッと見よくわからない人向けに用語解説すると
・種のアポトーシス:ネタバレなので回避
・関東湾:微細機械というナノマシン的なものに大地が分解されて海に沈んだ関東
・男女別自治区:男女別に隔離された人工浮島
・人工妖精:微細機械によって人の形づくられたアンドロイド兼AI。また第三の性別としてのこと。

最後の苛烈なるヒューマノイド共生SFというのは最終巻まで読んで改めて実感するような。ファーストコンタクト物と言ってもいいかもわからん。


でも文章読みにくいのと引用してきてるものがいつもアニメネタというか好みの分かれるものかつかじった様な政治の話と作者の本文の哲学の話となんとなくじゃないどころに戦闘場面等が中二臭いのでその辺慣れないときつい。

ホライゾンが十人に進めて九人が受け付けないで一人がド嵌りするような作品だとして、こっちは十人に進めたら十人が受け付けないで、話を聞いていた一人がド嵌りするような作品。
ジャンルがごったすぎて人によってはまとまってないと感じそう。






で、最終巻の感想。





いきなりC-1だもんだからどうせ時系列滅茶苦茶なんだろうと思って読んでたらその通り。でも読み返したらまた発見あるんだろうなぁ。

序盤が冗長というのはいつも感じるけどそこが伏線だから読み飛ばせない。鏡子と真白の話はサイコパスの槙島ディスだとかなんとかだけどよく知らんから気にならなかったが、普通に話として後に通じてきたし考えさせられる。心理学や哲学なんて一般教養の授業でかじったくらいだけどな。

その後に続く水淵との話も。というか水淵が存外どころじゃなくてまともな人で驚きが隠せない。鏡子の言い分だとキチガイじみてたけど、鏡子がキチガイじみてるからそうなるわな。

真白は愚昧。揚羽も愚姉。椛子さん優秀すぎ。洋平はついに人間辞めたか……。曽田兄弟はそっくりですね、主に好みが。

揚羽と真白はもう少しどうにかならなかったのだろうか。揚羽が独りで受け止めず真白と共有してればよかったんだろうけど、先に目が覚めてっていう負い目がどうしてもそうしきれなかったんだろうと思うと不憫。それに理想を追い求めてばかりの妹も今回で糾弾されたしその後の活躍が気になる。

エピローグはもう落涙必死だった。建前と本心の対比とか。最後の「百一人目の私はそうして誰もが幸せな町が個々に本当にあったことを、いつまでも語り継ぐことにしました」が余韻を持たせてる。

extra storyで救いがなかったらもうどうしようかと。あと東京駅のホームはやっぱり10番までなんですねはい。


結局幼形成熟のモノリスは勿論伏線で、人工幼生自体別の因果系からのコンタクトという、SFの未知との遭遇(非宇宙的生物)というのが衝撃的。微細機械のもととなった古細菌が意志を持つとかっていうのはあったから予想通りだけど。こういう着眼点は自分の中では新しかった。


以上感想はそんな感じ。

ところでΘの新刊まだですかね……?

コメント

音

最新の日記 一覧

<<  2025年4月  >>
303112345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930123

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索